歯周病治療

歯周病とは

歯周病は、歯そのものではなく、歯を支える周辺組織に引き起こされる病気です。歯と歯肉とのわずかな隙間から侵入した歯周病の原因菌が、歯肉に炎症を引き起こし、最終的には歯を支えている顎の骨まで溶かしてしまう怖い病気です。30歳以上の約80%が歯周病を患っていると言われており、成人が歯を失う原因の第一位は虫歯ではなく、歯周病なのです。

歯周病は、再発を繰り返すやっかいな病気です。その原因は口腔内環境にあります。お口の中が歯周病菌にとって活動しやすい環境になっているからなのです。歯周病を克服するためには、普段からご自身によるお手入れ(セルフケア)を根気よく続けること、そして歯科医院でのメンテナンス(プロフェッショナルケア)を定期的に受けることが何よりも重要です。

歯周病とは

歯周病認定医である
院長による歯周病治療

歯周病認定医である院長による歯周病治療

当クリニックでは、「歯周病認定医」の資格を持つ院長が歯周病の治療を担当いたします。
「歯周病認定医」は、日本歯周病学会が認定した歯周病治療のスペシャリストに与えられる資格です。2023年5月現在、和歌山市にはこの認定を受けている歯科医師は4名しかいません。
この資格は、下記の条件を満たして始めて取得できます。

  1. 日本歯周病学会指導医の元で5年以上の歯周治療の臨床経験を有する事。
  2. 日本歯周病学会の会員になってから5年以上経過している事。
  3. 申請時に50教育単位以上を取得している事(学会発表や論文発表をしている事)。

すべての条件を満たすと日本歯周病学会認定医試験の受験資格が得られます。そして認定医試験に合格してはじめて『日本歯周病学会認定医』の資格が授与されます。
しかも、この資格は5年ごとの更新が必要であり、5年の間に学会に出席して最新の知識を習得したり、患者様への治療成果を学会で発表し認めてもらえなければ更新できないルールになっています。

歯周病認定医認定証

歯周病チェック

思い当たることはありませんか?ひとつでも当てはまる方は歯周病かもしれません。

  • 朝起きた時、口の中がネバネバする
  • 口臭が気になる
  • 歯肉が赤く腫れたり、痛むことがある
  • 食べ物、特に硬いものが噛みにくい
  • 歯がグラグラと動く感じがする
  • 歯を磨いたときに出血する
  • 歯肉がむずがゆい
  • 歯肉から膿がでたり、唾液がネバネバする
  • 歯と歯の間によく食べ物がはさまる
  • 歯が前よりも長くなったような気がする

歯周病と全身疾患の関係

歯周病は最近の研究によって、全身の様々な病気を引き起こす原因になっていることが判明しています。特に心臓疾患や糖尿病、高齢者の肺炎などとの関連性が注目されています。

歯周病と全身疾患の関係
糖尿病

糖尿病を患っている方は、歯周病菌に対する抵抗力が弱く、歯周病に感染しやすく進行が早いと考えられています。また、歯周病菌により糖尿病が悪化するという調査報告も発表されており、歯周病の治療で糖尿病が改善された症例の報告もあります。

脳卒中

歯周病が遠因となって動脈硬化が起きると、血栓ができやすくなり、脳塞栓を起こす危険性も高まります。歯周病を患っている方は、健康な人にくらべ て、脳塞栓のリスクがおよそ3倍に高まると言われています。

動脈硬化・心筋梗塞

重度の歯周病まで進行すると、歯周病菌が血管内に侵入して、血液の流れにのり、全身の臓器に到達します。歯周病菌が作り出したアテローム性プラークという物質が血液の中に入り込むと、血栓(血の塊)をつくることが証明されていてます。血栓が心臓の血管を詰まらせると、心筋梗塞の原因になります。

誤嚥性肺炎

肺に細菌が繁殖して引き起こされる病気が誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎の原因となる細菌の多くは、口腔内で繁殖した歯周病菌だと考えられています。

歯周病の原因

歯周病の直接的な原因は、細菌の塊であるプラークですが、それ以外にも下記のような生活習慣や全身疾患などが絡み合って歯周病は悪化します。

歯周病の原因
細菌因子
お口の中には、およそ400種の細菌がいると言われています。これらの細菌は、歯磨きが正しく行われなかったり、食べかすが残っていたり、砂糖を過剰に摂取したりすると、これをエサに増殖し、ネバネバした物質を作って歯の表面にくっつきます。これをプラークと言います。このプラークの中の細菌が歯肉に炎症を引き起こし、やがて歯を支えている顎の骨まで溶かしていくのです。
環境因子
不規則な生活、喫煙、ストレス、偏った食生活などの生活習慣も歯周病の進行と深い関係にあります。
生体因子
免疫機能の低下で歯周病に対する抵抗も弱まるため、高血圧、糖尿病などの全身疾患のある方は特に注意が必要です。また、妊娠中も女性ホルモンの増加により歯周病になりやすくなります。

歯周病の進行

健康な状態

健康な状態は歯肉が淡いピンク色で引き締まっています。歯槽骨が正常で、歯周ポケットもありません。

健康な状態

歯肉炎

歯と歯肉の隙間にプラークがたまると歯肉に炎症が起きます。そして、歯と歯肉の隙間に溝ができます。これが歯周ポケットと呼ばれるものです。歯磨き時に出血することがあります。

歯肉炎

軽度歯周炎

歯肉の赤みが増して炎症が進行した状態です。歯磨きでは出血を伴います。この時期から歯を支える骨である歯槽骨が溶け始めます。
歯周ポケットは3から4ミリ程度まで広がりますが、自覚症状はほとんどありません。

軽度歯周炎

中等度歯周炎

歯肉の炎症がさらに進行すると赤く腫れ上がった状態なります。歯を支える歯槽骨が溶けて減少しています。
歯周ポケットが5から6ミリに広がり、歯が浮いたような感覚が起こります。硬いものが噛みんくくなるのがこの段階です。

中等度歯周炎

重度歯周炎

歯肉の炎症が悪化してブヨブヨとした状態になります。歯を支える骨が極端に少なくなり、歯がグラグラすることが多くなります。
歯周ポケットは7ミリ以上で、口臭が強くなります。

重度歯周炎

歯周病治療の流れ

STEP1
歯周病の検査
歯周病の検査

歯周病の進行状態は、歯周ポケットの深さを検査することで判断します。
健康な歯肉の場合、歯周ポケットは1から2ミリ程度。進行するにつれてポケットが深くなります。

歯周病の検査
STEP2
歯の表面のプラーク除去
歯肉縁上の歯石除去

歯周病治療の基本はプラークを除去することです。プラークを放置すると、ブラッシングでは取り除くことができない硬い歯石になります。
したがって、プラークのうちに毎日のブラッシングでしっかりと取り除くことが有効です。

歯肉縁上の歯石除去
STEP3
歯表面の歯石除去
歯表面の歯石除去

ブラッシングだけでは取りきれない歯石を専門の器具を用いて取り除きます。まずは歯の表面や歯周ポケットの浅い部分にある歯石を取り除きます。
歯石を除去することにより、歯磨きしやすい環境を整え、歯肉の炎症を和らげます。

歯表面の歯石除去
STEP4
治療後の評価
治療後の評価

治療後の検査を実施することで、どの程度まで歯周ポケットが改善されたかを評価します。健康な状態と判断できればメンテナンスに移行します。
あまり改善が進んでいない場合には、スケーリング・ルートプレーニングを行って歯根の歯石を除去します。

治療後の評価
STEP5
歯根の歯石除去
歯根の歯石除去

歯周ポケットの深い部分にまで付着した歯石や歯周病菌に冒された組織を除去します。
再付着の予防のために、歯の表面と歯の根を滑沢にすることで、歯石の再付着を予防します。通常、麻酔を用いて歯石を除去します(スケーリング・ルートプレーニング)。

歯根の歯石除去
STEP6
歯周外科処置
歯周外科処置

スケーリング・ルートプレーニングを行っても、歯周病の症状がなかなか改善しない場合は、患者様とご相談の上、歯周外科処置を行うことがあります。
歯周外科処置は、歯肉を切開し、歯の根にこびり付いた歯石を徹底的に除去します。処置は局所麻酔で行います。

歯周外科処置
STEP7
歯周組織再生療法
歯周組織再生療法

患者様とご相談の上、必要に応じて、歯周組織再生療法を行うことも可能です。
歯周組織は一旦破壊されてしまうと、再生は困難と考えられてきましたが、近年になって、エムドゲインやリグロスといわれる薬剤を活用することで、歯周組織の再生が可能となりました。
つまり、一度失ってしまった歯槽骨をある程度まで回復させることが可能になったのです。

歯周組織再生療法
STEP8
ペリオデンチャー
ペリオデンチャー

患者様とご相談の上、必要に応じて、重度歯周炎により、ぐらついた歯を固定し、最適な咬みあわせ調整を行うぺリオデンチャーを使用することも可能です。

ペリオデンチャー
STEP9
メンテナンス
メンテナンス

歯周病は再発しやすい病気です。治療効果を長期間継続させるためには、定期的なメンテナンスを受ける必要があります。
通常は3ヶ月に1度のペースで来院していただきます。

メンテナンス

歯周組織再生療法

歯周組織再生療法は、薬剤を用いて、歯を支えている歯周組織を再生する治療方法です。ただし、歯周組織再生療法を行えば、歯周組織が必ず再生するわけではありません。
歯周病が進行して、歯槽骨の大部分を失ってしまっているような症例では、歯周組織の回復はほとんど望めません。したがって、歯周病を進行させないための予防が何よりも大切なのです。

エムドゲイン歯周組織再生療法

エムドゲイン歯周組織再生療法

エムドゲインは新しい歯周組織再生療法で、歯の再生過程に似た環境を作り出す事が出来ます。
エムドゲイン・ゲルという薬剤を使用することで、歯肉の侵入を防ぐと同時に歯周組織の再生を促します。現在、世界30カ国ほどの範囲で使用されています。

エムドゲイン歯周組織再生療法

リグロス歯周組織再生療法

リグロス歯周組織再生療法

リグロスは、日本で開発された歯周組織再生剤で、2016年9月に厚生労働省によって認可されました。
まず基本的な歯周治療を実施して、歯石を徹底的に除去します。その後、歯周組織が失われた部位にリグロスを注入して、歯肉を縫合します。術後、およそ1年程度で歯周組織が再生されていきます。

リグロス歯周組織再生療法

歯周組織再生療法の
費用について

エムドゲインを用いた歯周組織再生療法については保険適応がございませんので、自費診療となります。
リグロスを用いた歯周組織再生療法は、保険適応が認められていますがその範囲は限定的です。保険適用される範囲をこえた施術については自費診療となります。詳しくはお問い合わせください。